ディレクターはパーソナリティに『キュー(合図)』を出します。
『キュー(合図)』を出すためにある『キューシート(CUE SHEET)』。
生放送のラジオ番組にはなくてはならない進行表です。
番組がどこへ向かって進んでいるのか?スタッフが一目でわかるように記された羅針盤。
台本とは違い、キューシートに書かれているのは以下の内容です。
キューシートを見てわかること
・番組の進行
・CM入りと明けのタイミング
・大まかな時間配分とデッド時間
結論、キューシートは一目見ただけで、誰もがわかるように作成するのがポイント。
この記事を書いた人
りーまん
・中卒でラジオ制作会社に入社して10年勤務
・ワイド番組、スポーツ中継、ANNGなど担当
・現在はフリーで音声コンテンツプロデューサー、ディレクター
りーまんのプロフィール⇒運営者情報
X(旧Twitter)⇒りーまん@ただの中卒
この記事では「ラジオ番組に欠かせない進行表の『キューシート』と専門用語」について解説しています。
ラジオ番組の『キューシート』の中身
ラジオ番組のスタッフ、パーソナリティは『キューシート』を元に、番組を進行していきます。
では、実際のキューシートにはどんなことが書かれているのか?
簡単に作成しましたので、下記をご覧ください。
※スマホ画面では横向きにした方が見やすいです
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2021年〇月〇日(木)19:00~19:30
『ラジオファイル』
ゲスト:〇〇の〇〇さん、パーソナリティ:〇〇アナウンサー
19:00:00
9:00
10:10
26:30
27:40
|
オープニング
|
<前TM CI~>
[アナ] 時刻は夜7時をまわりました~ ※あいさつ~
この時間は『ラジオファイル』をお送りしていきます!
そして、番組をお聴きの皆さんからも、 このあと登場するゲスト〇〇さんへのメッセージを募集します!
※メール呼び込み
[アナ] ~たくさんのメッセージ、お待ちしています! ~さあ、1曲お送りしましょう! M / A:0“ B:2‘19” C:2’22“ Total: 4‘06” [アナ] ~お送りしたのは、〇〇で〇〇でした! さあ、お知らせのあとは、ゲスト〇〇さんの登場です!<J>or<SS> |
CM | ~きょうも元気で」 1‘02“ | |
ゲスト 出演 |
<J>【BGM CI~】
[アナ] 〇〇がお送りしている~『ラジオファイル』ですが、 スペシャルゲスト〇〇さんにお越しいただきました!
[ゲスト] あいさつ~
別紙台本参照
[アナ] 〇〇がお送りしている~『ラジオファイル』ですが、 スペシャルゲスト〇〇さんにお越しいただきました!ありがとうございました! |
|
CM | ~きょうも元気で」 1‘02“ | |
エンディング
|
<後TM FI~>
[アナ] 〇〇がお送りしている~『ラジオファイル』ですが、 そろそろエンディングのお時間です。
※きょうの感想~
来週のゲストは、〇〇の〇〇さんです!お楽しみに!
この後は『ラジオのラジオファイル」』をお送りします! この時間のお相手は〇〇でした!
アナ尻【29:30】
後TM FO~ |
30:00 次番組 『ラジオのラジオファイル』
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これが大まかな『キューシート』の中身。
ラジオ番組は放送局で違いはあれど、ほぼこの形式で作成されています。
キューシートのアルファベットの意味
アルファベットの意味
- TM
- CI、FI、CO、FO
- J、SS
- M
TM
TMとはテーマの意味です。
前テーマや後テーマは、主にTMと記入。
番組スタートでは前TM、番組エンディングでは後TMと表記して、キューシート上に記入します。
CI、FI、CO、FO
主に曲の始まり方や終わり方を意味しています。
CI→カットイン
FI→フェードイン
CO→カットアウト
FO→フェードアウト
J、SS
JやSSはジングルの表記として使われます。
10秒~20秒の短いBGMの中に、放送局と番組名のナレーションをパッケージ化。
FM局によってはSSと表記してステッカーとも呼ばれています。
M
Mとは「ミュージック」。
OA曲の意味です。
Mの下に書かれているA、B、C、Bなどの記号は「タイミング」と呼ばれていて、イントロやコーラス終わりの時間を意味します。
記入方法は下記を参考まで。
タイミング
A:12" B:1'45 C::1''55” B:3'02" Total:3'35"CO
A→イントロ、B→1コーラス終わり
C→2コーラス歌あたま、B2→2コーラス終わり
Total→曲のトータル時間
曲の時間の測り方は、このようにして記入します。
イントロが流れだしたら、どの程度で曲紹介をまとめなければいけないのか?
パーソナリティもパっと見てわかるように、時間を記入しています。
キューシートを作成する上で必要なこと
キューシートに書くこと
- 時間の記入
- それぞれのゾーンの記入
- 入口と出口の記入
- 台本ありなら(別紙参照)を記入
時間の記入
時間を記入しないとパンクしてしまいます。
生放送だったら何時何分までトークをして良いのか?
スタッフ全員がキューシートを見て、どの時間に何があるのかを明確にする必要があります。
それぞれのゾーンの記入
キューシートは、スタッフの誰が見てもわかるように記入します。
ゲストが出演する際、どのタイミングでスタジオに入ってもらえばよいか?
曲を流している間にスタジオにお呼びし、セッティングするために、出演前のゾーンに曲やCMゾーンを作ったりもします。
入口と出口の記入
コーナー前と後での簡単なルール付けも記入します。
オープニングで〇〇のテーマから入って、CMに行く前は「この文言」の後でCMに入る。
「アナ尻」とはその言葉通り、パーソナリティ(アナウンサー)の最後の言葉。
CMへの入りや番組のエンディングでは「アナ尻」の文言と時間を決めておきます。
台本ありなら(別紙参照)を記入
キューシートと台本は別物です。
台本がある場合はキューシート上に「別紙参照」と記入。
ワイド番組やゲストが出演する番組では、打ち合わせも含め、必ず台本が必要になります。
まとめ:ラジオ番組でのキューシートは、誰もが一目で分かるように書くこと
ふだん何気なく聴いているラジオ番組には、必ず『キューシート』が存在します。
例えば、キューシートを作成したディレクターが、生放送本番中に倒れてしまったら・・・
そんな不測の事態があるかもしれません。
急遽、ピンチヒッターでキューを出すディレクターは何をやれば良いのか?
キューシートを作成したディレクターだけが、内容を理解していてはダメなのです。
結論、キューシートは一目見ただけで、誰もがわかるように作成するのがポイント。
生放送になれば突発的なことも起こり、大きなゾーンの変更や時間計算などが求められます。
キューシートがあれば、CMの時間はあわせて何分何秒かかるのか?
こういったことが明確になり、時間の計算が楽になります。
今後はポッドキャストの配信や収録でも『キューシート』を作成する方が多くなるかもしれません。
音声配信を仕事にしようと思っている方は、この記事の『キューシート』の書き方を、ぜひ参考にしてみてください。